6/4  引退
今朝の調教中に転倒し起立不能となったことから安楽死の処置を行いました。
「先週まではウォーキングマシン調整を行っていましたが、疲れなども抜けてきたので騎乗調教を開始しました。
今朝も他の馬と同様に角馬場で調整を行っていたのですが、その最中に転倒してしまいそのまま立ち上がれなくなってしまいました。
なんとかしてあげたいとスタッフの力を合わせて馬房までは運んだのですが、時間が経過しても立ち上がることは出来ませんでした。
エコー検査を実施したところ転倒した際に腰を強打したことにより、骨盤を骨折していることがわかりました。
これ以上馬を苦しめるのはかわいそうなので、その場で安楽死の処置を行いました。
すでにゲート試験にも合格しデビューを楽しみにしていたと思いますが、このような結果となってしまい大変申し訳ございません」
(NFしがらき担当者)

キャロットクラブ出身の種牡馬で、世界的にも活躍馬を輩出しているハットトリックの当クラブ唯一の募集馬として、
会員の皆様の期待が高かっただけに最悪の事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。
近日中に競走馬登録を抹消することとなりますが、出資されている会員の皆様には後日改めて書面をお送りいたします。

命名した出資馬トリプレッタが残念ながら帰らぬ旅に出る事となりました。
レースデビューまであと一歩という矢先の出来事であり、陳腐ではありますが残念でなりません。
クラブのコメントに見るに、かなり馬は苦しんで逝ったようで、読み返すのも辛いところですが
それも出資者の責務。懸命に手を尽くして下さったであろうNFしがらきのスタッフさんには感謝です。


さて、どうやってこの悲しみを癒したらいいのやらと、途方にくれることもできましょうが
僕がいかに悲しんだところで、馬の痛みを代わりに受け止めてあげることも出来ません。
「今自分に出来ることなんて」穿った自己満足に浸らず、トリプレッタが生きた事と
こういった事があったと、忘れないように書き留めるべくこの文章を書いています。
競馬を楽しんで、クラブ出資を初めて4年目。


「いつかこういうこともあるだろう」


なんて簡単に思っていましたが、こういった形で痛感する事になろうとは。
今はただ、冥福を祈ることしか出来ない無力を悔やむばかりでしょう。
死んだ馬に出来ることなんて、何もないとは思いますが。


10年産はローガンサファイアというもう一頭の出資馬がいます。
彼女に過度にならない期待と愛情を持ち、そして皆様の愛馬や好きな馬が無事に馬生を全うできるよう
今日くらいは粛々と喪に服しながら祈ることで供養としたいと思います。


デビューがどんなに難しい事か。
好きな馬にはできるだけ、生きてるうちに会いに行こうと。
あいつら、脚はえーから一気に駆け抜けるもん。
気付いたら手届かないとこにいやがる。ちくしょー。