僕が19歳でキャバクラ店長やってた時の話。

twitterで、こんな話を書いたら「ブコメ付きますか?」みたいな話をしたら
勧めらたり、favを頂いたりしたので書き記してみることとしました。自分の整理も含めて。
先にお断りするが「新宿スワン」みたいに、ドラマチックな暗部の話も殆ど無いし
特定防ぐ為に、ちょっと脚色も混ぜますのでその当たりはご了承を。
ただちょっと、常識だとか善悪の話になると、きっと悪い方よりです。
また、出てくる社会背景や価格が、2002年〜2004年前後の時代なのでそれもご容赦を。


最後に得るものはきっと何も無いエントリーです。


■そもそもこの業界で働いた理由。
高校卒業後、そのままこの業界に入った僕ですが、当初はそんなつもりはありませんでした。
高校時代部活と同人活動に明け暮れていた為、学校が進学校では無い為か、大学受験の選択肢はありませんでしたし
専門学校に入学して「クリエイターを目指す」という選択肢(当時、同人音楽のようなジャンルで同人活動
もあったかと思いますが、親ともあまり折り合いがよろしくなく「自立して好きに生きたい」という気持ちが強く
働いて家を出ることにしました。高校時代のアルバイトが酒屋であり、接客を好きだと思えたので飲食店で
働きたいな、と軽く思い就職情報誌に出ている飲食店を何店も経営する会社の面接を受けました。


面接当日、いきなり社長室に通され、社長の面接でした。内心ビクビクだったと思います。
内容スカスカの履歴書を見て頂き、軽く高校時代に頑張ったこと、部活やアルバイトのことを話した途端
「君はきっとレストランや居酒屋よりも、女性店に向いているよ!やってみよう」とまったく予想外のお声。
その場で即採用。「明日から来い、革靴と黒のスラックス、白のワイシャツ持ってきてな!」とだけ言われ
いきなりキャバクラの店員として働く事になりました。(試用期間3ヶ月は時給1000円のアルバイトだった記憶があります)


初出勤から、まぁなんとか怒られずに仕事出来るようになるまでだいたい半年くらいかかりましたが
初めて見るような、着飾った綺麗なお姉さんと、お金を贅沢に使った店内、そしていろんなお客様との出会いは
当時社会に出たての僕には、非常に刺激的でなんだかんだで楽しかったことを覚えています。


■そもそもキャバクラじゃ無い。
読んで頂く方に読みやすいように「キャバクラ」という言葉を使っていますが、実は違う業種でした。
一般的にはキャバクラというのは「女性が横についてお酒を楽しむ。女の子は比較的若い」を指しますが
自分が居たのは、北海道のため「ニュークラ」という業種が正しい表現となります。
本州のキャバクラ=北海道のニュークラという図式がしっくり来るかと。
ちなみに北海道で「キャバクラ」というと、本州で言うところの「おさわり」「セクキャバ」とかに当たります。
性的サービスはありませんが、女の子の色々なとこに触れられる、というお店ですね。
働いていた会社では、そういった業種の経営はしていませんが、そのへんの話も後に触れます。


■前の店長が逃げた。
初めて配属されたお店で半年間働いた後、別の店への配置転換を社長より言い渡されました。
理由は何だったか覚えていませんが、今までいたお店よりも、いわゆる「高級店」に配属になりました。
今までいたお店のお客様の単価はお一人様あたり10000円〜13000円前後。
対して新しい職場は20000円〜の客単価で、女の子の給料も時給制だけではなく
稼げるホステスさんにとってはメリットのある「売り掛け」という形態もありました。


(簡単に言うと、時間毎に店のスペースをホステスさんにお金を頂いて貸す代わりにセット料金・飲み物のボトル代や
指名料等が全て女の子の懐に入る。特定のお客様が一定数いるホステスさんだとこちらのほうが稼げる)


店に入って3ヶ月程は、当時の店長が非常に良くしてくれる人で、話も合いましたし
お客様もホステスさんもお金をお持ちの余裕のある、「大人」ばかりのお店でしたのが幸いしました。
可愛がられ楽しく仕事が出来ていました。ですが、19歳の誕生日を迎えて数ヶ月、転換期は突然に訪れました。


店舗に行く前に必ず、会社の事務所に寄ります。お店で使うつり銭受け取りや日報を提出、社長と世間話等目的は様々ですが
ある日、定時(16時出勤。終わったら午前2時くらい?)より1時間早く来いと会社の幹部より電話があり
「なんかやらかしたっけなー」と思いながら出社すると、社長室に呼ばれました。


「○○店長が飛んだ(逃げた)。とりあえず変わりの人員も居ないから、頑張ってくれるか」


と社長から衝撃の一言。頭が真っ白になりました。色々と社長に対して反論しましたが
「代わりがくるまでだ」「お前なら出来る」「いい経験になる」といまでいうブラック会社並の説得に合い
「とりあえず頑張ります」という言葉を言ってしまう状況に追い込まれ、めでたく「19歳の店長」の出来上がりです。
今考えても、僕の人生の中で一番の衝撃だったことを覚えています。今考えても怖い。


店長は借金のトラブルで飛んだ、というのが社内では囁かれていますが真偽は不明です。


■お仕事。
キャバクラにおいて店長というのは店の顔ではありますが、別にカリスマは必要無かったのかな、と思います。
当時僕が社長から言われたのは「年齢とキャラクターを生かして甘えてしまえ」という事。周りが助けてくれると。
そういった意味では良い環境だったのでしょう。店のホステスの学生バイトのボーイにそのことが告げられるも
大きな同様にはならず(まぁ内心は「こんな若造が」と思ってらっしゃっていたでしょう)難なく就任です。


いきなり当日から名刺の肩書きが「店長」に変わっていたのを見て「確信犯じゃねぇか!」と毒づきつつも
業務は進んでいきます。当時、業界の中でもシステム化が進んでいた自分のいた店は、PCを使った売上管理が
誰にでも簡単にできる形態でした(入電時に簡単な処理をすれば、料金が自動計算される。
飲み物食べ物もタッチパネル押せば計上できた)そういった業務は店員時代にもやってましたし、女の子の給料は
事務所が一括管理してますからそのへんの煩わしさもありません。


まず、最初に苦労したのはいわゆる「付け回し」です。
同じ店内に、一人のホステスさんを指名するお客様が二人以上居る場合、両方の相手をしなければなりません。
また、お客様はお一人で来店することもありますが、初めてお店にいらっしゃるお連れ様もご一緒なこともありますので
そういった場合に、どの女の子をどのテーブルに付け、どのタイミングで席を立たせ、コントロールしようかという仕事です。
店員時代もやっていましたが、これがやはり難しく、苦労しました。
お客様に楽しんで頂く為に、話やお客さまの求めるタイプの女のタイプの子を付けなければなりませんし
女の子(特に時給)も新しいお客さまをつかめれば売上が上がる、一度だけでも場内指名があれば実入りが増えますから
そういった事で、公平さを求める采配が必要とされました。


お客様も様々でした。金と暇を持て余したお爺さん・儲かってる中小企業の社長や幹部。
会社の接待費で優雅に飲みつつも領収書は忘れない地元大手企業の社員等々様々です。


ご来店の目的も様々です。馴染みのホステスと会話やカラオケを楽しみに来る常連様。
数名でご来店頂き、楽しく騒ぎながらお酒を楽しまれるお客様。
接待の二次会で、接待であることを来店前に念入りに連絡をいただくお客様。
そして、仲良くなりアフター(営業終了後ホステスと飲みに行くこと)や
それこそ、その先にある「男女の関係」を求めるお客様など(ぶっちゃけヤラせろ)等。

こういったお客様にどういった女の子をつけよう、どうやってまた来てもらおう
というのは苦労しつつも、やりがいのある仕事だったなぁ、と思います。
「あのお客さんにはつきたくない」とか「あの子は付けないで」とかホステスから言われて
嫌になることも、多々ありましたが。


また、店長の仕事に「女の子の入れ替え」というものがあります。
有り体に言えば「入店の面接」「切り捨て」です。
これがとにかく辛かったです。自分よりも一回り以上の人もいる中で
そういった話をしなければならないわけですから。
このへんはやはり力不足が否めずに社長や会社幹部の立会いや手助けと
叱咤激励と言うなの罵詈雑言の元、なんとかやり通したというだけです。


思い出したくことも多いのですが、印象に残ったエピソードをひとつ。
退店時の面談や手続きの際。本人が望んでの退店なので揉めたわけではないですが。


私「今月いっぱいで辞められるということですね。ご苦労様です。また戻って下さってもいいですよ」
ホ「多分それはないかなー。妹も稼ぎ終わったんで、一緒に当分ゆっくり暮らしまーす」
私「(金持ってるお客も多かったし、愛人契約でも取ったか?)妹さんも一緒なんですねー」
ホ「そうそう。こないだまで○○ってデリヘルで△△って名前でー。聞き覚え有るでしょ?」
私「( ´゚д゚`)」
ホ「○○の店長ってバレてるよー。何回か指名したでしょ?」
私「くぁwせdrftgyふじこlp」
ホ「プレイの内容は聞いてないから」
ホ「もうお店辞めてるから。残念だったねー」


あ、妹さんの方が綺麗でした。


■お金の話。
この話を、時たまお酒の席で人に話すことがあります、が聞かれることの多くがやはり「お金」のお話。
これを3つに分けて、簡単に書きたいと思います。「ホステスの給料」「僕の給料」「原価」の3つ。


まず「ホステスさんの給料」のお話です。幸い、単価の高いお店でしたからそれなりに
稼げる人は稼げていたと思います。特にランキング発表とかは無かったですけども
お店のナンバーワンの女の子は月に平均して200万くらい稼いで居ました。
時給給与で人気のある子だと、指名料とボトルバック(客がボトルを入れるとその価格の一部女の子に入る)
いれて70万くらいだったかな。何に使っていたのかは解りませんが、稼いでも稼いでも・・・という人も多かった。


稼げない人は反して悲惨です。「売り掛け」といういわゆるツケのシステムが存在します。
締め日にホステスがお客様から回収して店に必要分を入金する、というシステムなのですが。
僕が働いた店では、安定して稼ぐホステスさんの稼ぎの大きい一人のお客様が120万ほどのツケを残して
行方不明になる、ということがありました。会社からも失踪されたようで、未だに理由はしりません。
ただ、そんな理由は僕らにとってはどうでもいい話しであり、締め日にはお金を入れてもらわねばなりません。


幸い、非常に仕事意識の高いホステスさんであったため、120万をきっちり入れて店側では一件落着となりました。
この大金をホステスさんの蓄えから出したのか、他のお客様が建て替えたは解りません。
問題なく払えたからいいですが、実際に払えずに風俗で働くことになったホステスさんや
消息をくらまして、あんまりよろしくない商売の人たちから逃げる事になった人も居ます。
あの時僕がいた世界は華やかだけではなく、お金と現実の恐怖が隣り合わせになってたんだと今でも思います。


そして次に「僕の給料」です。僕の給料はまずは固定給で25万程+売上に応じた歩合ということになります。
この歩合の部分ですが、大きく分けて2つに分けられます。「担当している女の子の歩合」「売上目標達成に対する歩合」
時給給与の女の子に関しては、出勤管理等含めて、店の人間の担当になります。僕の店では社員は僕一人しかおらず
当時10数名いた時給給与の女の子が全て担当ということになります。女の子の指名数・ボトル数がポイント化され
そのポイントに応じた金額を掛けて、その10%程度が僕の給与になります。(10%僕・50%店・40%女の子だったかな?)


これがとにかく大きかった。前のお店でも5名ほど担当していましたが、稼げるような子では無かったので
月に数万円だったのです。ですが店長になった段階で激変しました。変動有りですが、40万円前後の歩合が僕に入ります。
んで、店の売上に対する歩合です。トータル売り上げに対し、0.5%が僕に入ります。20万前後だったでしょうか。
ただし、売上目標未達の時はこれは発生しません。やってた時は二ヶ月に一度くらい貰えていたような。
というわけで平均して70万〜80万の給与が僕に支払われるわけですね。いま考えてもすごい額だ。
そこから保険代だなんだを引いても手取りで60ちょっとはあったと思います。


ただ、このお金は殆ど残っていません。やめた時の当面の生活費に消えたっていうのもありますが
19歳の若者にこんな大金を持たすとろくなコトはしません。飲む打つ買うのオンパレードです。
金銭感覚の麻痺しているのは自覚していたと思いますが「稼げばいい」という安心感が拍車を掛けます。
「勿体なかったなぁ」と思うことがありますが「若いうちにやっといてよかったかもね」という気持ちも。


そして最後に原価です。これは実例を載せます。()内は大体の仕入れ値


割り物の烏龍茶や緑茶(125mlのミニ缶)・・・1000円(約30円)
サントリー鏡月・・・5000円(約600円)
シーバスリーガル・・・8000円(約1800円)
ドンペリ・・・35000円(約9000円)
山崎18年・・・ 100000円(約17000円)
※昔の記憶を頼りに記していますので結構曖昧です。
うちの店は、ボトルだけ使って中身を入れ替えるようなことはしていませんでしたが
ハウスボトルを大きい4リッターペットで詰め替えるとかはしていましたね。
「ぼったくりじゃねぇか!」と思う人、いるでしょうねぇ・・・。まさに水商売、です。


■チャームのお話。
ホステスさんが居るようなお店ではチャーム(おつまみ)がだいたい出ます。
大体のお店だと乾き物ですが、お店によってはママだったり、専任の人を雇ったりで
ちょっとした一品料理を出します。うちもそういったお店で、「チーフ」と呼ばれる専任の人が居ました。
2日にいっぺんくらいメニューを変えるのですが、このへんを決めるのも店長の仕事でしたね。
どういったものかは、居酒屋のお通しをイメージして頂けるとわかりやすいかも。
大体チーフの提案を受け入れてますが、このへんは常連さんによって変わるのです。


例えば、Aさんとしましょう。このAさんは僕が店長になる数カ月前からお店に通われていたお客様です。


酒癖も悪くなく、支払いもしっかりしてらっしゃり週1は店に来て下さり、月一回は同伴でのご来店。
※同伴=同伴出勤。開店前にホステスと食事などをしてご来店頂くこと。女の子の売上ポイントになる。
そしてアフターの強要は全くしないと、紳士的な男性。同伴時に自分やバイトのボーイにはおみやげを
頂く事も、しばしば有りなんとまぁ「素敵なお客様」です。こういったお客様は大事にしたいものです。


仕事に対して真面目な黒服(キャバクラで働く男のことをこう言う)は、メモ帳に色々なことを書いています。
僕は先輩から教えられたのは、「常連の来店日くらいはメモっとけー」と言われていましたが自分なりにこんなのを
書いていました。やっている人はきっと多いと思いますが。


・お飲みになるボトル
・チャーム(量・食べたもの・残したもの)
・お吸いになるタバコの銘柄(喫煙者のみ)
・趣味
・解ればご家族構成


大体こんな事をメモしていたと思います。
そしてある時このメモを見返すことがあり、Aさんは殆どチャームを手に付けない事が解りました。


「好き嫌いが多いかな?」と思いましたが、メニューは常日頃変わりますし少しは口にしても良かろうなもの。
「こういう時は聞いても失礼に当たらないかな?」と、ある日Aさんに直接訪ねて見ることにしました。
伺ったところ、健康上の理由で、食事やお酒に制限が多く、食べていいものか管理されているため
飲む時は殆ど手に付けないと、との事。ホステスさんに聞いてみても、お食事の際は殆ど召し上がらないそうです。
ただ、ホステスさんが食べているのを眺め、お話をしているのだと。
このあたり、気の利くホステスなら店に言ってくるのですが、実はいま指名した頂いている女の子は
業界が初めての女の子。そのへんにも気が回らなかったのか、言いづらかったのか。


ただ、そこまでしてもご来店頂くお客様ですから、大切にせねばなりません。
そこで「何か食べてもよさそうなもので、お好きなものはありますか?」
というと、Aさんは恥ずかしそうに「アロエヨーグルト」と仰ります。
伺ったからには、ご用意せねばなりません。その次の日から店にはアロエヨーグルトが常備され
賞味期限が切れそうなときには、閉店後に僕やバイトの夜食となることになりました。


■あなたのタバコはこれでしょう?
僕が入店当初から積極的にやっていたのがタバコに対するお客様への気遣いです。
お吸いになるお客様は、お店でタバコが切れると買いに店の人間が走ります。
ただ、近くのコンビニまで行っても最短で7〜8分。吸いたいときに無いとちょっとご不快になりますね。
そこで、メモ帳に常連様のお吸いになるタバコをメモし、それやよく出るものを数箱づつ店に常備します。
ここまではやってる店も多いのですが、これを僕はボーイに封を切って持たせる事、そしてグラスを下げるや
氷を変えるときに、なんとなく本数を把握させ少ないようであれば帰りにサービスとしてお渡しすることを
やらせるように実践しました。ちょっと想像してみてください。


客「タバコが切れちゃった。」
ホ「買っててきてもらいますねー。すいませーん(黒服やボーイを呼ぶ)」
ホ「タバコ買ってきてください」
黒「こちらでございますよね。(差し出す)」


これがウケました。嬉しいですよね、ご自分の銘柄を覚えているという「常連」のちょっとした優越感。
お客様様に非常に喜んで頂くことは、ホステスさんの売上にもつながります。
お客様が一番ではありますが、店に出るホステスさんも店の重要な「売り物」です。
このあたりのさじ加減は、難しい所ではあるのですが。


■タロットカード占いやってたの。
僕はたいてい店でレジ室近くのカウンターに居ることが、店長時代は多く
そこで仕事や、カウンター席で飲む(ちょっとセット料金が安い)お客様の
話し相手などをしていました。ちょっとした盛り上げ役です。
うちの店は、常連さんも幸いに多く、またホステスさんとも長い付き合いのお客様が多いので
お客様によっては、店に余裕があるときはボーイや自分を席に呼び一緒にお酒を頂くことも多く
そこで話の種になる芸を覚えている先輩が居らっしゃいました。(社長はお客様と碁打ってた。)


人の真似じゃつまらんとなと思い、かつホステスを盛り上げつつお客様の目を引く物として
選んだのはタロットカードによる占いです。本格的な物ではなく、大アルカナだけを使ったものですが。
タロット占いは、カードの位置による意味が、暗示的な表現になっておりかつ
占う内容を占うものが認識しないで占います。出てきたキーワードを占われた人がどう受け取るかによって
結果が変わってくるのです。面白く、そして占う方としては気軽な占いですね(ごめんなさい)


占う内容も様々です。陳腐ではありますが、お客様は高いお金をお支払い頂き、時間限りの擬似恋愛を
楽しみに来られているわけですから、お客様とホステスの相性占いから、健康・金運・未来等々。
お客様へのお話の提供として始めた占いですが、一時期ちょっとした話題になり
お店の女性の部下の方を連れて来る方や「参考になった」とチップを後日頂ける事もありました。
タロットはあくまで一例ではありますが、こういった個性的なサービスを考えるのは楽しかったですね。
いまはうろ覚えですが、勉強し直したいなーと思うこともしばしばです。


あと今考えるとまだ厨二病治ってなかった。


■嫌なお客様
もうこの変は箇条書きで。


・持ってるカードの殆どが止まってて支払い処理出来ない
・過度の酒の持ち込み
・女の子やホステスへの謎の説教
・チェック(会計)後の過度の居座り
・他のお客様の席へ乱入
・ヤ○ザ
・若いホスト
・ドリンク原価の話が好きなお客様
・黒服・ボーイに執拗に飲ませようとするお客様


思い返すと、そんなにどうしようもないお客様って少なかったなーと思います。
多分僕はこの業界で働いてた時は非常に恵まれていたな、と今は思います。


■夜の業界ならではのお仕事?
お店の価格が価格で、それなりに社会的な身分のお客様が多かったのも有り
普段来ていただいてる常連様が「接待」として使っていただくことも多かったです。


ご来店頂く人数も多いとあって、売上を確保するチャンスですのでありがたいのですが
それだけではありません。北海道に出張などでハメを外されるのはもちろんよくある話です。
ぜひ普段のストレスを忘れて、せっかく北海道に来たお客様は楽しんで頂きたいところです。
お客様の中には「この後あれを食べたい」「この後あそこに行きたい」というご質問を頂くことも多いです。


例えば「ラーメンが食べたい」とか「お土産にカニが欲しい」といった等は
系列のラーメン店に誘導したり、飲食やってる店の同僚に都合してもらい
翌日のホテルにお届けする、などのサービスもありました。まぁこれなら全然OK。ありがたい要望です。


例えば「デリヘルを呼びたい」「ホテルに連れ帰って一晩の遊び相手が欲しい」というご要望なども・・・。
勿論異業種の斡旋や、法に触れそうなサービスの提供はNGではありますが、実際にそういったことを生業にしている
人たちとのコネクションも、あったことは事実です。僕らは基本的に仕事引けたあとに遊ぶとなったら
居酒屋やゲーセン・カラオケとなります。基本的に女の子の居るようなお店には行けません。(いわゆる同業者お断り)
ただ、お金を持った若者がそれだけではすみません。遊ぶとなったら風俗も多いです。
また、ああいった店で働いていると、そういった店の経営者とも
良いのか悪いのかお知り合いになることがありますので、そっちを紹介する、ということもありました。


あとこれは僕は直接コンタクトはありませんが、社長は超高級なVIPだけを相手にするような
いわゆる「コールガール」の業者とも、お付き合いがあったようですが。(一晩20万とかするらしい)
ちょっと、男性としては興味はありますよねー。ていうか一度遊んでみたかった・・・。


■店長交代と退職。
そんなこんなで、悪戦苦闘しつつも、なんとかお客様に恵まれたお陰で店長業をやった自分ではありますが
交代も突然でした。店舗の契約条件が良くない店舗を一店潰すことになり、そこの店長が
自分のいた店の店長に序列的に収まることになりました。伴って、最初に入った店に転属することになりました。
系列店で、両方に顔を出してくれるお客さまも多く、また同じビル内にあったこともあって大した代わりはないのですが。


新店長への引継ぎを済ませ、元いた古巣へ変えることになりました。我ながらよくやったという達成感を得る代わりに
ちょっと悔しい気持ちもあった人事異動でしたね。最終日には懇意のお客様よりプレゼントを頂いたりで嬉しかったです。
ちなみにそのお客様とは、転職後も親交がありお世話になったのですが一昨年お亡くなりになられました。
仕事の出張中だったこともあり、不義理にも葬儀には参列出来ず後日ご焼香だけはさせて頂きました。
申し訳なくも、感謝の気持ちでいっぱいです。いい、お客様というか、いいおじいちゃんでしたね。


さて、古巣に戻った後しばらくして、自分は急性アルコール中毒で仕事中に倒れることになります。
年末の売上目標を達成しよう、遊ぶ金を稼ごうと無理に客席で大量のお酒を飲み、そのまま店の裏でノックアウトです。
かなり危険な状態で数日入院をしました。当時、私生活で大きな出来事があり、荒れていたのかもしれません。
友人を心配させ、ここまで体に鞭打って続けることではないし、ちょっとゆっくりしたいなと思い退職を決意。
意思を示してから、一ヶ月ほど仕事をして、一部の常連様にだけご挨拶をし、約2年の夜のお仕事終了です。
それから半年ほどふらふら貯金を食いつぶして、再度就職。なんとか今に至ります。


■得たもの
振り返ると辛くも楽しかったのですが、得たものも大きいなーと思います。
いろいろ書くとキリがないのですけど、「大人」と接することによって何も知らないクソガキが
ほんのちょっとは大人になれましたし、やっぱり人に接する仕事は楽しいな、と思えたのが最大の収穫です。
時々「戻りたいなー」とか、付き合いのある当時の同僚からは「帰ってこいよー」と言われますが。
今の生活もそれなりに得難いものもあり、なかなかどうして。


■最後に
もうちょっと客観的に業界の話を書きたいなとおもって書き始めたのですが
なんとなく自分が、当たり障りなく、楽しかったことを思い出すだけのエントリーになりました。
もうちょっと面白い話もあったのですが、お客様のプライベートな部分や、思い出すのも嫌な話も多く
割愛させて頂きました。もし興味がある奇特な方など居らっしゃいましたら、実際にお会いできる機会などあれば
ぜひお話させて頂きますので、そういった機会があったらぜひ誘ってください。


いやー書き出したら長い長い。最後まで読んで頂いてありがとうございました。